2018年10月28日

品川新駅(仮称)設置に伴う京浜東北線南行線路切り替え工事

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品川駅5番線に入線する一番列車


(1)はじめに
 2014年、東日本旅客鉄道は旧田町車両センターの跡地などを利用し、品川駅〜田町駅間に山手線と京浜東北線の列車が停車する新駅(以下、品川新駅)を設置すると発表した【出典1】。現在、2020年の暫定開業に向けて工事が進んでいる。その一環として2018年6月16日の終電後から6月17日の午前にかけて品川駅周辺で京浜東北線の線路切り替え工事が行われた。その一部始終を報告する。

(2)工事概要
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図1.品川駅線路切替工事概要図(品川駅付近配線略図、一部の配線は省略している。)

(参考:JR東日本 プレスリリース【出典2】)

 今回の工事による主な変化は以下の4点である。
 ・現行の京浜東北線南行の線路を品川新駅の設置される東側へと移設する。
 ・それに伴い品川駅の京浜東北線南行ホームを4番線から5番線へと変更する。
 ・移設した線路端を切り替える。
 ・異常時の折り返し能力向上を目的として横浜方の分岐器の使用を開始する。

(3)6月16日、工事前日
 品川駅4番線に京浜東北線南行が発着する最後の日である。翌日の線路切り替え工事後京浜東北線の発着ホームが変更になる旨を告知する掲示物が駅構内の至る所に掲示されていた。

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写真1.発着ホーム変更を告知する横断幕

 また、すでに品川駅4,5番線の案内板にはシールが貼られており、翌日の工事に向けすでに準備が行われていることが伺えた。

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写真2. 3,4番線の案内板。4番線側がシールになっている。


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写真3. 5,6番線のホーム上案内板。シールの隙間から水色がわずかにのぞいており、ここが京浜東北線のホームになることをうかがわせる。


(4)6月17日 線路切り替え工事当日
 線路切り替え工事当日である。工事に伴い、始発から東海道線(上野東京ライン)と京浜東北線の一部区間で運転を見合わせた。並行する山手線では輸送力を補うために内回り、外回りともに臨時列車が運転された。

・東海道線(上野東京ライン)
 東海道線は東京駅〜品川駅間で午前7時40分ごろまで運休した。東海道線上り列車は品川駅で折り返し運転を行い、宇都宮線、高崎線、常磐線からの上野東京ライン東海道線直通列車は東京駅で折り返し運転を行った。これに伴い品川始発の常磐線特急2本が東京始発に変更になったほか、寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」の終着駅が東京駅から品川駅に変更された。

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写真4.東京駅8,7番線の電光掲示板。「ときわ51号」の横に赤文字で「始発」の文字があるのがわかる。


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写真5.品川駅止まりとなった「サンライズ出雲・瀬戸」。通常のダイヤでは品川駅には停車しない。


・京浜東北線(品川以南)
 京浜東北線は品川駅〜上野駅間で運休した。品川以南では品川駅と蒲田駅で折り返し運転を行い、品川駅〜蒲田駅間は通常よりも少ない本数での運行となった。蒲田駅では約半数の列車が中線で折り返しもしくは留置線への引き上げを行っていた。ちなみに、南行ではポピュラーな蒲田行きであるが、2018年7月現在、北行の蒲田行きは蒲田以南の北行終電のみであり、日中には見られない。品川駅では3番線のみを使って折り返し運転をしており、折り返しには横浜方に新設された分岐器を用いていた。品川行きは2018年7月現在、北行南行ともに定期で設定はない。また、品川駅では階段付近で職員がプラカードを持ち、山手線や上野東京ラインの利用を呼び掛けていた。事前に京浜東北線の運転を見合わせることは告知されていたが、客への周知はあまりできていなかったらしく、押し寄せる客の対応で苦労していたようだ。

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写真6.定期列車では設定のない品川行き。


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写真7.品川駅3番線で折り返す大船行き。


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写真8.蒲田駅、北行の臨時の時刻表。通常よりも本数が少ないことがわかる。2018年9月現在のダイヤでは休日の6〜8時台は毎時12本だが臨時ダイヤでは半分の毎時6本である。


・京浜東北線(上野以北)
 上野以北では東十条駅と上野駅で折り返し運転を行い、東十条駅〜上野駅間は通常よりも少ない本数での運行となった。上野駅では4番線に到着した後、一旦田端方にある留置線に引き上げ、その後山手線の線路を横断し1番線へと入線していた。また、定期の上野行きは深夜の北行に1本あるのみで南行にはない。

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写真9.定期列車にはない南行の上野行き。北行でも深夜に一本あるだけである。


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写真10.大宮方の留置線で折り返し、上野1番線に入線する列車。増発した山手線と平面交差するがその間を縫うようなダイヤ設定である。


・上野駅での折り返し運転
 以下の図1〜図3は上野駅1〜4番線付近の配線略図である。(一部の配線は省略している。)

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図2.上野行き南行列車が上野駅4番線に到着する。

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図3.山手線外回りの線路をまたいで田端方の留置線に引き上げる。

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図4.山手線内回りの線路をまたいで上野駅1番線に入線する。


・運転再開
 上野東京ラインは午前7時40分ごろに品川近辺を発着する電車から順次運転を再開した。京浜東北線はその後も工事を続け、臨時列車最後の品川行きが午前10時6分発磯子行きとして3番線で折り返した後、北行は通常の運転に戻った。午前10時40分ごろ移設した南行新線の試運転が行われ、試運転列車9915Aはそのまま品川始発の磯子行きに充当となり、この後京浜東北線は順次運転を再開した。なお品川駅5番線は今まで「鉄道唱歌」が発車メロディに用いられていたが、今回の工事で2018年6月現在まで採用例のなかった新曲「おはよう」【出典3】に変更された。

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写真11.真新しいバラストが光る南行の新線を初走行した試運転列車。徐行で品川駅5番線へと入線した。


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写真12.試運転列車はそのまま南行列車に充当された。多くの工事関係者や鉄道ファンに囲まれ新メロディを背に出発していった。


 なお、上記の工事の様子はJR東日本のYoutube公式チャンネルに動画が投稿されているため、興味のある人はぜひ見てほしい。
公式チャンネルJR東日本
URL: https://www.youtube.com/channel/UCioFlMsGwVfA-uWnn0ZWo_Q
【サービス品質よくするプロジェクト】「線路切替工事」編
URL: https://www.youtube.com/watch?v=aX8E1-fkWuo

参考文献
【出典1】JR東日本プレスリリース「田町〜品川駅間に新駅を設置し、まちづくりを進めます」
URL:https://www.jreast.co.jp/press/2014/20140604.pdf
【出典2】JR東日本プレスリリース「品川駅線路切換工事に伴う列車の運休について」
URL: https://www.jreast.co.jp/press/2017/tokyo/20180227_t02.pdf
【出典3】品川駅新発車メロディ「おはよう」追加,鉄道モバイル(2018年9月14日参照)
URL: http://www.te2do.jp/newcnt/detail/?sid=589&xid=%E2%80%AC
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2018年10月14日

諏訪湖花火大会2018・臨時列車運用記録(前編)

 先日8月15日に、長野県諏訪市・上諏訪駅周辺にて「第70回諏訪湖祭湖上花火大会」が開催された。この花火大会は、約4万発の花火が打ち上げられ、およそ50万人もの人々で賑わう全国最大規模のものである。その特徴はなんといっても音であり、四方を山に囲まれた諏訪湖上から打ち上げるため、音がお腹まで響いてくる。まさに「ドン、バン、ズン。五感に響く」(諏訪湖花火キャッチコピーより)花火大会である。また、諏訪湖花火大会は鉄道ファンに注目されるイベントでもある。なぜなら、50万人の来場者をさばくため、多数の臨時列車が運転されるからである。その中には、普段は首都圏で運用されている車両が応援にやってきて充当される列車も存在する。
 本記事では、そんな諏訪湖花火大会当日の列車運用について研究し、2018年の運用に就いた編成を記録していく。

1.諏訪周辺の運転系統
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<画像:諏訪周辺の路線図(筆者作成) 黒い太線と黄緑色の線はJR東日本、橙色の線はJR東海、灰色の線はアルピコ交通(松本電鉄)の路線である。「中部ライン 全線・全駅・全配線 第3巻 八王子駅−松本エリア」(講談社/川島令三著)より筆者作成>


 平日午後の諏訪周辺の列車運転系統は、概ね以下のようになっている。
<表: 平日午後の諏訪周辺の列車運転系統>

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 岡谷‐塩尻間は、特急・普通列車ともに主にみどり湖(塩嶺トンネル)経由の新線で運転されている。ほかに飯田線直通列車が川岸駅経由で、辰野‐塩尻間はほぼ独立して運転される。岡谷から辰野経由で塩尻方面へ向かう列車は朝の下り1本のみ存在し、中央東線と中央西線を直通運転する列車は現在定期では運転されていない。

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<画像:中央本線の新型特急E353系>


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<画像:現在の中央本線普通列車の主力211系>


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<画像:飯田線直通列車の213系(JR東海車)>


2.花火大会当日の動き
 小淵沢‐塩尻間における、16時‐22時の通常の平日ダイヤグラムを以下に示す。
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<図:小淵沢‐塩尻間の平日ダイヤ。黒色の線が普通列車、赤色が特急列車、青色が快速列車を表す。信濃境・すずらんの里・青柳・みどり湖及び辰野支線の各駅は省略している。JR時刻表2018年8月号及びJR東日本Webサイトより筆者作成>


 JR東日本長野支社のプレスリリースによれば、本年は中央本線(みどり湖経由)において、上下各42本の臨時列車が運転されたとのことである。花火大会当日の臨時列車を含めた同区間・同時間帯のダイヤグラムを以下に示す。
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<図:小淵沢‐塩尻間の2018年8月15日におけるダイヤ。3526M快速「みすず」を除き、青色の線で表された列車が臨時列車である。上図同様に筆者作成>


 このうち、茅野‐上諏訪間の普門寺信号場から岡谷駅の間は単線区間となっている。上図より、同区間での行き違いはほとんどが駅で行われていることがわかる。
 なおこの日は、中央本線・篠ノ井線松本以南にて運用車種と両数の変更(普段3両の列車は6両へ増結)が行われるため、大糸線や篠ノ井線長野方面から上諏訪方面に直通してくる列車の一部が松本止まりになる。また、飯田線から上諏訪・茅野まで直通する列車は、夕方以降は全て岡谷止まりとなる。これは飯田線方面への列車が主に2両・クロスシートの車両で運転されるため、混雑する時間帯の岡谷‐上諏訪間の輸送には適さないからであると考えられる。

 前述の通り、この日は首都圏で走っている車両が臨時列車の運用に就く。本年は、青梅・五日市線用のE233系青661編成と、南武線用のE233系N36編成が用いられた。

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<写真:青梅・五日市線用のE233系青661編成>


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<写真:南武線用のE233系N36編成>

 他にも、長野車両センター所属の211系もほぼフル稼働で用いられた。

 後編では、当日の記録をもとに、車両運用を推定する。

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